もし当てはまるなら、ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり)が潜んでいるかもしれません。
寝ている時(睡眠時)だけでなく、起きている時(覚醒時)にも起こる、強い噛みしめや歯のこすり合わせの総称です。
多くの⽅は「ガリガリ音が出る=歯ぎしり」と思いがちですが、日中の静かな食いしばりでも歯や顎関節には同程度の負荷がかかります。
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)は、子どもから大人まで全員に起こりうる現象です。
差が出るのは“力の強さ”と“持続時間”。力が弱ければ問題ありませんが、強すぎると歯や顎にダメージを与えます。
POINT:お子さまの歯ぎしりは決して珍しいことではなく、ストレスだけが原因とは限りません。
歯があってもなくても、脳の指令で起こるため“歯ぎしりゼロ”の人はいないと言われています。
つまり、歯ぎしりそのものは生理現象ですが、力が強い/長時間続くとトラブルの原因になります。
→ ところが覚醒時は“ながら作業”で数十分〜数時間ダラダラ続くことが多く、歯への負担が大きくなります。
一瞬の 強い力 |
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ダラダラ続く 強い力 (覚醒時) |
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結論:夜間より昼間の無意識クレンチングのほうが、歯周組織には深刻なダメージを及ぼすリスクがあります。
歯ぎしりの中でも最もたくさんの人にみられるのが「グラインディング」と呼ばれるものです。
これはギリギリと歯を擦り合わせる最も一般的で頻度の多い歯ぎしりで、回りの方に気づいてもらえることが多いものです。上下の歯を強く噛んだ状態で横に滑らせこすり合わせる動きをいい、最も歯にダメージを与える歯ぎしりで、歯の削れが大きく歯が擦り減って平らになるという特徴がみられます。
眠っている時に起こることが多いようですが、起きている時にしている人も少ながらずいるようです。ただし、実際には音のしない歯ぎしりをする人もいるため気づかない場合もあるようです。
クレンチングは、食いしばりとか咬みしめとも言われています。上下の歯をぐっと強い力で噛みこむことで、グラインディングと違い横にこすり合わせることはありません。
日中、力仕事の時に食いしばるように、寝ている時も同じように力が入ってしまう(クレンチング)行為で、音が出ないために自分で自覚している方は殆どいません。よく見ると、クレンチングをしている人は頬の筋肉に力が入るため堅く膨らんで見えることがあります
人は、1日の中で食事や話すことで上下の歯を咬み合わせるという行動は必然的に行っていますが、実際のところ上下の歯が咬み合っている時間は実質わずか5分から長くても20分程度といわれます。
普段無意識の時などは上下の歯はくっついているわけではなく少し隙間がありますね。これを安静位空隙といいます。クレンチングがある人は、この20分の時間が大幅に増えさらに強い力が加えられていることになります。
歯ぎしりのタイプは以上の3つに分類されますが、いつ歯ぎしりするのかによって「睡眠時ブラキシズム」と「覚醒時ブラキシズム」にも分けられます。
睡眠時ブラキシズムは言葉通り眠っている時に起こる歯ぎしりのことをさし眠っている時なので無意識に起こっていると考えられます。
一方、覚醒時ブラキシズムは、起きている時に起こる歯ぎしりのことで、いわゆる癖ということになります。いずれにしてもあまり自覚がないのが歯ぎしりで、なかなかしないようにするのは厄介です。
最近のWeb調査では、日本人10,000人中31.6%が「歯ぎしり・食いしばりの自覚または指摘を受けた経験がある」と回答。自覚率は12.5%に留まり、多くの方が“隠れブラキサー”であることが示唆されました。
札幌市内でも在宅ワークやリモート授業の拡大に伴い、デイタイムの無意識食いしばりが増加傾向。当院では2019年比で来院相談件数が約1.4倍に伸長しています。
ブラキシズムの 国際分類 (ICSD-3) |
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病態生理の 最新知見 |
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ボツリヌス毒素(BTX-A)を咬筋に微量注入し、一時的に筋収縮を抑制することを目的とする歯科領域でも注目度急上昇の低侵襲療法です。
2024年のシステマティックレビューでは、咬筋BTX-A後12週で平均痛みスコア−3.2ポイント、筋電活動−41%が報告されました。
pmc.ncbi.nlm.nih.govmdpi.com
適応 | 臨床 メリット |
併用 推奨 |
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睡眠時 ブラキシズム |
夜間筋痛・ 頭痛の緩和、 ナイトガード依存度↓ |
ナイト ガード |
覚醒時 クレンチング |
作業中の TCH是正補助 |
行動療法 |
TMD (顎関節症) Ⅲ型 |
開口痛改善、 側頭筋負担減 |
理学療法 |
審美 (下顔面 ボリューム) |
エラ張り改善、 小顔効果 |
矯正・ 補綴 |
3–5日で開始、2–4週でピーク、3–6ヶ月持続
注射部の軽微な圧痛・内出血(〜1週)程度
A. 咬耗量や保管状況によりますが平均2年前後で再製作が必要です。
すり減りや破損状態によっては1年で再製作することもあります。
A. 軽症〜中等度なら保険ナイトガードで十分改善例もあります。
重症例・審美要求が高い場合は自費治療を併用します。
A. ボツリヌス毒素(BTX-A)を咬筋に少量注射し、筋活動を一時的に緩める治療です。
歯ぎしり・食いしばりによる痛みや歯のダメージを軽減し、フェイスラインがほっそりする美容効果も期待できます。
A. 表面麻酔のシールを術部に貼り、アイシングを行います。
痛みの程度は患者様によって変わりますが極力痛みが少ないように施術します。
内出血や一時的な違和感がまれに起こりますが日常生活に支障はありません。
A. 3〜5日後に咬筋が柔らかく感じ始め、2〜4週でピークに達します。
持続期間は3〜6ヶ月が目安です。
A. 3〜4回(約1年)の継続で咬筋肥大が後戻りしにくくなる症例が多いです。
A. 効果ピーク時に「硬い物が噛みにくい」と感じることがありますが、1〜2週間で慣れるケースが大半です。
A. 一過性の(咀嚼力低下・軽度の内出血・注射部の違和感)が主です。
重篤な副作用は極めて稀ですが、妊娠・授乳中や重症筋無力症の方などは受けられません。
A. 抗体形成リスクがわずかに上がるため3ヶ月以上間隔をあけます。
A. 激しい夜間ブラキシズムの場合、ボツリヌス注射+ナイトガードの併用で歯の摩耗・ヒビ割れを二重に防ぐことを推奨しています。
抗体ができて効かなくなると聞きました... 3ヶ月未満の短期スパンで頻回に打ち続けると抗体形成リスクが上がります。
当院では最低3ヶ月の間隔を確保しています。
A. 保険外診療になります。費用は33,000円(税込)になります。
A. 矯正・補綴・顎関節治療と並行可能です。
投薬中のお薬(抗凝固薬・筋弛緩薬など)は事前に必ずお知らせください。
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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09:30 - 13:30 | ● | ● | ー | ● | ● | ● | ー |
14:30 - 18:30 | ● | ● | ー | ● | ● | ● | ー |